訪問看護の役割とは

1．疾病や障害の管理

Management of diseases and disabilities

訪問看護では、ご利用者様の病状や病態の変化や今後の経過から起こり得る問題を予測し、それを回避できるように予防的に関わります。これらを念頭に置きながら、日常のケアの中で疾病や障害の現状を観察し、服薬管理や医療処置、リハビリテーションなどのケアや病状管理を実施し、現在の健康レベルの維持・向上を図るように働きかけます。また、その疾病や障害が、ご利用者とご家族の日常生活に及ぼす影響についても発見・予想・判断し、その状況に応じた技術や情報を提供・指導する役割を担っています。

2．療養環境の整備

Improvement of the medical care environment

手すりやスロープなどで療養環境を整えることは、たとえ障害があっても自力での移動を可能にするなど、利用者様の残存機能を生かし、自律を促すケアの一環となります。また、ご利用者様やご家族の社会生活を維持するために、より健康で安全な暮らしの維持、将来起こり得る身体機能の低下や生活障害の予防という視点で環境整備をすることも訪問看護の役割です。具体的には、住宅内での転倒や転落、熱傷などの事故防止、段差などを要因とする閉じこもりや寝たきり、望まない転居を防ぐことが大切であり、段差の解消や照明の工夫、補助具の活用、住宅改修で対処できることがあります。これらをご利用者様とご家族の意思決定をもとに、他職種と連携を図りながら、支援をします。

3．必要な社会資源の情報提供と活用

Provide information on and utilize social resources

ご利用者様やご家族の状態、生活背景を踏まえ、利用可能な社会資源についての提案や情報提供をし、必要な社会資源がを活用できるように支援をします。また、私たちは情報提供や提案をさせていただくことはありますが、その利用について意思決定をするのは、ご利用者様とご家族ですので、無理に活用を促すものではありません。

4．他職種との連携と調整

Cooperation and coordination with other professions

私たちは、ご利用者様を支援する様々な職種間の役割の確認・調整を行うなど、関係機関や他職種と情報共有や連絡を取り合い、ご利用者様やご家族が継続的に一貫性のあるケアを受けれるように努めます。また必要に応じて、医療を専門としない職種に対し、ご利用者様の健康面に関する観察方法やケア方法について情報伝達や指導をさせていただくことがあります。

５．セルフケア能力を活かした療養方法や介護方法の相談

Consultation on medical treatment and care methods

ご利用者とご家族が自分たちの意思に基づき、持てる能力を最大限に発揮してセルフケアができるように、私たちは療養方法や介護方法についてご相談に応じ、支援をします。介護の方法は家庭にある物品を活用するなど、ご家庭ご家庭で実施可能な方法を検討し、無理なくできる方法を共に工夫します。

６．ご家族の健康管理と介護負担の軽減

Family health care and reduced burden of caregiving

ご利用者様にとって、介護者であるご家族の存在が療養生活の継続や生活の質を左右する鍵となります。介護者への過度な介護負担は、家族機能の維持を困難にしたり、虐待などの危険を生じることもあります。私たちはご家族の健康管理を行うとともに、ご家族の介護の内容や量などの介護力をアセスメント、その力量に応じた支援や療養体制の整備を図るなど、ご家族の生活と介護生活の両立が可能になるように働きかけます。

７．リスクマネジメント（危機管理）

Risk Management

訪問看護で考えられるリスクとしては、ケア中の事故（転倒・転落）、誤嚥・誤飲、褥瘡の発生、カテーテル類のトラブルなどが考えられます。訪問時には病状や状態の些細な変化にも気づくことができるよう、十分な観察とアセスメント・対処を行い、ご利用者様やご家族にも十分な説明・報告をし、安全性への配慮と確保を行います。また、訪問時以外で起こり得るリスク、災害時に起こるトラブルなどをあらかじめ予測し、その回避策・対処法についてご利用者様・ご家族に説明・相談をしながら、危険を回避するよう努めます。